恋の仕方、忘れました
「そっちこそ人のこと言えんのかよ」
「…え?」
「冷血仕事人間なのかと思えばまさかの処女」
「ちょ、もう処女じゃないです!」
「クズに処女奪われたかと思えば心まで奪われましたって、会社の人間が知ったら驚くだろうな」
「……主任ってたまに意地悪になりますよね。子供みたい」
「どっちが」
この話をするのが面倒になったのか、主任はベッドに乗ってきたかと思うと突然「こっち」と言って私の腰を抱き寄せる。
不意をつかれた私の身体は大袈裟にビクリと揺れた。
あの日はかなり酔っていたから、こういう仕草のことはよく覚えてなくて。だから初めての感触に自然と身体が強ばった。
「こわいか?」
耳元で聞こえる彼の声は想像以上に優しかった。
ふるふると首を横に振ると、それを合図に主任は私を押し倒し組み敷く。
あまり顔が見えないように照明を調節したはずなのに、この暗さに目が慣れてしまったのか私を見下ろす主任の顔がハッキリと見えた。
でもそれはたったの数秒で、気付いたら彼の顔はすぐそこにあって、ゆっくりと唇が重なると、私は身を委ねるように目を閉じた。