恋の仕方、忘れました
まさかキスをされると思っていなかったから少し驚いたけど、でもそのキスが想像以上に気持ちよくて、気付いたら身体の力が抜けていた。
キスというものがこんなにも気持ちいいものだなんて、今の今まで知らなかった。
そういえば祐真さんの時はどうだったっけ。
もうそれすらも思い出せない。
ていうか、今はそんなこと考えられない。主任が考える隙を与えてくれないから。
今はそれに応えるのにただただ必死だった。
ふと唇が離れて、至近距離で視線が絡む。
なんて綺麗な顔立ちなんだろう。と、思わず彼の頬に手を添えた。
───あ、私、本当に主任としてるんだ…。
その時、突如部屋中に響き渡る携帯の着信音に、はっと我に返った私は慌てて彼から手を離した。
「主任、電話が」
「無視っとけ」
鳴っているのは主任のスマホで、今度こそ彼女からかもしれないと思って声を掛けるのに、当の本人は出る気がないのかそれだけ言うと今度は私の首元に顔を埋める。
また味わったことのない感覚に自然と声が漏れ、それが恥ずかしくて「でも、急用だったら」と食い下がれば、主任は再び私と視線を重ねた。
「いいから今は俺のことだけ考えといて」
そして、甘い声で、まるで彼氏のような台詞を囁いた。