恋の仕方、忘れました
その顔でその台詞は、世の女が骨抜きになることを分かってて言ってるに違いない。
案の定何も言い返せない私に満足したのか、そのまま主任は私の着ている服をゆっくりとたくし上げ、露になった身体に視線を送った。


さすがにこれは恥ずかしくて急いで手で顔を覆う。
初めてじゃないにしても、まだ2回目。
こういう行為自体に慣れていないというのに、相手が主任ときたものだから、序盤だというのに既にもう限界を感じた。


けれど主任は、私の手を顔からゆっくり引き剥がすと、そのままベッドに縫い付ける。
身動きが取れない状況になったけれど、自然と恐怖は感じなかった。


私に触れる手は、酷く優しい。
私を見据える目も柔らかい。

まるで私の反応ひとつひとつを確かめているかのように丁寧で、不快感がないから拒むことを忘れる。



寧ろ、恥ずかしさを感じつつも、もっと触れてほしいとさえ思ってしまっている自分に驚いた。

主任もそんな私を分かっているのか、その手は徐々に際どいところへ移動する。



不意に、この人は主任だって頭の中で警報が鳴る。

それが何度目かの時、往生際が悪い私は「主任、やっぱり」とストップをかけようとした。


でも彼がそれを受け入れてくれるはずがない。


「今更やめるなんか言うなよ」の一言で片付けられた。

その最中にも彼は手を止めない。
それどころか弱いところを攻めてくる。
何だかんだそれを受け入れる私を見てたのしんでいるようにも見えた。


まるで私の性感帯を全て知っているかのような動きに、私の頭は何も考えられなくなって最後には抵抗するのをやめた。


そんな私を見て「大丈夫、俺に任せとけばいいから」なんて囁かれたら───もう、抗うことなんて出来なかった。

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