恋の仕方、忘れました
“仕事の後、食事でもどう?”
あまりに唐突すぎるメッセージに、唖然とした。
だって、皆で行くならまだしも、この感じだと二人きりってことだ。
課長は既婚者なのに、もし二人で食事しているところを会社の人間にでも目撃されたらどうするんだろう。
それがお局の耳にでも入ったりしたら…私この会社にいられなくなる。
でも課長は断られると思っていないのか、少しうきうきしているのが見て取れる。
上司という立場を利用して、有無を言わさないつもりなのか。
「えっ…と、」
付箋で伝えてきたということは、周りにバレてほしくないということ。
怪しまれないように断るには、どうすればいいんだ。
課長、私こう見えて恋愛偏差値がかなり低いんです。こういう誘いに慣れてないんですよ。
枕営業するどころか、つい先日初めてラブホテルに入ったくらいピュアな奴でして。顔には出てないと思うけど、かなりピンチです。
言葉に詰まる私を見兼ねたのか、課長は再び付箋にボールペンを走らせる。
今度は何かと思えば“今日が無理なら明日でも”と、またまた断りにくい状況に追い込んできた。