恋の仕方、忘れました
もしかして助けてくれた?
でもどうして主任は今晩誘われてることに気付いたんだろう。
なんて、今はそんなことよりもあの課長から救ってくれたことが何よりも嬉しくて、喜ばずにはいられなかった。
この一連の流れを見ていたお局達が、またひそひそと話しているのが視界に入る。
やっぱりあいつら私のこと認めてなんかないだろ。と、心の中で悪態をつくも、今は彼女達のことなんてどうでもよかった。
密かに人気のある主任と二人きりで出掛けることが気に食わないのかもしれないけど、別に本当に出掛けるわけじゃないし、それよりもこの感謝の気持ちをどう主任に伝えようか考える方が先だ。
私も付箋に書くべき?いやいや、もしその付箋を誰かに見られたら終わる。
てことはやっぱり直接話したい。
二人きりで話せるタイミングがないかと、自分の席につくとすぐに主任を探した。
けれど、さっきまでそこにいた主任の姿がもうどこにも見当たらない。
そのまま給湯室にでも行ったのだろうか。ならば私もと、席を立とうとしたその時。
机の上のスマホが短く震えて、新着メッセージのお知らせが画面に表示された。
“夕方、時間空いてるか?”
それはたった今私が探していた人物からのラインで、内容を確認した私は急いで返事をする。
“空いてます”
“なら一緒に出るぞ”
恐らく課長に怪しまれないようにするための作戦だと分かっていても、すぐに来た返事の内容が今の私には最高に幸せなものだったから、嬉しさのあまり盛大にニヤけてしまった。
誰かに見られてはまずいので、顔を隠すように机に顔面を打ち付けて突っ伏す。
横の席の同僚が、机をゴンッと鳴らした私に驚いたのか「え、成海さん?生きてる?」と話しかけてくる。
「ううん、天国にいけそう」
と答えた私は、かなり舞い上がっていた。