恋の仕方、忘れました
よく知らない人とタクシーに乗るのは気が引けて、少し距離はあるけど近くのホテルまで歩くことにした。
夜風にあたりながらイノケンさんの後ろをゆっくりとついて行ってたら、段々と冷静になってきて……実はいま、とてつもない後悔に襲われている。
結局主任が心配していたことがそのまま起こってしまった。今私がこんなことしてるってバレたら、きっと嫌われるんだろうな。
自分がアホすぎて主任に合わせる顔がないと思いながらも、今すぐ主任に会いたくて仕方がない。主任が恋しい。
…もうそろそろ本当に禁酒しようと思う。
イノケンさんと歩き初めてから恐らく10分くらい経過した。
その間もイノケンさんは、私がさっきコンビニで買ったお酒の入った袋を持ってくれようとはしない。
可愛げも無くカップ酒を何本も買ったものだから、実はかなり重い。足がふらついてしっかり歩けない。
きっと主任なら、いや、裕真さんでも運ぶのを手伝ってくれたと思う。
まぁ後腐れない関係ってこういうものなのかもしれないけど、本当にただの性欲処理の道具としてしか見られていないことに虚しくなる。
あーこれは相手を間違えたかも。
私はただ、自分が優しく抱いてくれる人をすぐ好きになってしまう人間なのかどうかが知りたいだけだった。
だから相手は誰でもいいと思ったんだけど、やっぱりある程度まともな人間じゃないときちんと比べられないということがよく分かった。
まだ抱いてもらったわけじゃないのに、既に分かる。この人は主任以上にならない。
このままお酒を置いて走って逃げようかとも思ったけど、イノケンさんがスニーカーを履いてるのに対して私はパンプス。
すぐ捕まるのは目に見えていた。