恋の仕方、忘れました
ワンコールで電話に出た主任は、開口一番まくし立てるように説教をしてくる。
私がいま、どんな状況なのか知らずに。
「しゅ、主任、た、たす、助けて」
『……え?どうした、何かあったか?』
「ぅっ、ど、どうしましょおぉ」
主任の声を聞いた瞬間ほっとして、こんな時なのにきゅんとして、嗚咽が漏れる。
すると怒り狂っていた主任の態度は一変して、焦っているように感じた。
それもまた嬉しくて、愛おしくて、もう自分の気持ちに嘘をつくのは無理だと感じた。
やっぱり好きだ。主任が好きだ。
いつの間にか私は主任じゃなきゃだめで、主任しか見れなくなっていた。
この気持ちを抑えようとすればするほど溢れるし、我慢すればするほどこうして失敗する。
もう認めるしかないと思った。この状況で頭に浮かぶのは主任だけだったから、足掻くのはやめようと。
最初からこうすればよかった。
ただ気持ちを伝えるだけなのに、なぜこんなにも遠回りしたのか。
「主任ごめんなさい」
『え?』
「優しく抱いてもらったからって好きになってごめんなさい」
『…ちょ、待て、取り敢えず落ち着…』
「彼女いるのにごめんなさい、好きなんですごめんなさい」
『うん、いやさっきから何の話を…』
「あの人とやりたくないどうしようー」
『だからさっきから話が飛びすぎてなんのことか』
「主任としかしたいと思えないんです。主任以外の人に触られたくないんです。主任とはもう出来ないのに、私ほんとバカ…」
『いいから俺の話を聞け』
「主任、私はどうやってここから逃げたらいいですか?」
『……お前いまどこに誰といんだよ』
「分からない、何にも分からない」
『あのなぁ』
「どうしよう人生何も分からないよー」
『ふざけんなよこの酔っ払いが。…あーもうマジであんな飲ませるんじゃなかった』
だいぶ酔いは醒めたつもりでいたけど、主任の言う通りかなり酔っているのかも。
それならそれでいいや。そのお陰で気持ちを伝えられたし。