恋の仕方、忘れました
さっきから主任の口がかなり悪くなっているけど、その分とても焦っていて私を心配してくれているのが伝わってくる。
不謹慎かもしれないけど、それが私をアパートまで送らなかったことへの罪悪感だとしても好きな人が私のことを考えてくれてるって嬉しいことだと思った。
「主任……好きぃ」
『取り敢えず今どこにいるのか死ぬ気で調べろ。すぐ行くから』
電話の向こうでバタバタと音がする。もしかすると本当に私を探してくれようとしているのかも。
でも今主任は彼女といるはず。
…そう、主任は彼女といるのだ。
私を優先していいわけないし、そもそもこんなに電話してたら迷惑のはず。
それどころか愛の告白まで…。
決して私は、二人の恋路の邪魔をしたいわけじゃなかったのに。
気持ちを伝えられたらそれで良かったわけで、悲しいけど、こうなることを分かってて伝えたのに。
「……主任ごめんなさい。やっぱり大丈夫です」
『は?』
「気持ちを伝えられただけで満足です。ご清聴ありがとうございました」
『おい待てこら』
「うん、スッキリした。キッパリふられるのも悪くないですね」
『なぁマジで今どこなんだよ』
「てことで、これから慰めてもらってこようと思います」
『お前絶対調べる気ねぇだろ』
「こうなってしまったのも自分の弱さ故。覚悟決めます」
『決めんでいいから俺の話聞けや』