恋の仕方、忘れました

主任を待っている間、緊張で吐き気はするし落ち着かないし、でもこれから主任に会えるのが嬉しいしでじっとしていられなくて、店の中にいろと言われたけれど駅前のコンビニの外に立っていた。

スーツ姿の人が目の前を通る度に反応してしまう。
けれど顔を確認すると誰しもが主任以下の顔面偏差値。

また別の人だった…と、暫く俯いていると。



「なんで外にいんの」



私の視界に見覚えのある革靴が入ってきて、ゆっくりと視線を上げると、そこにはずっと待っていた彼の姿があった。



「店の中にいろって言ったよな。お前マジでさっきから俺の言うこと無視し過ぎだろ」


「やっと本物来たぁ」


「……お前二度と酒飲むなよ」



数時間ぶりなのに、久しぶりに会えたような感覚に襲われる。会いたくて会いたくて、待っているこの時間が死ぬほど長く感じたから。

ついさっきまでイノケンさんといたからか、主任のかっこよさがより際立って眩しい。つい見惚れてしまいそうになった。

そんな主任は、少し息を乱して私を睨みつける。
彼の服装は私と別れた時のままで、帰ってからお風呂にも入らず私のことを心配してくれていたのかと思うときゅんとして、急いで駆けつけてくれたことに何とも言えない気持ちになった。


会ったらまず謝ろうだとか、主任が来るまで色々考えていたはずなのに、そんなこと会った瞬間に全部飛んでいってしまった。

< 86 / 188 >

この作品をシェア

pagetop