恋の仕方、忘れました
思わず好きって叫びそうになった。

けれど、出かかったそれを一度飲み込んで、さっきイノケンさんに言われたことを思い出す。

私が今しないといけないのは告白じゃない。

真実を確かめることだから。



「主任」



未だ突っ伏したままの彼は「ん?」と視線だけこちらに向ける。
その目はもういつもの優しさを孕んでいて、それにまた泣きそうになって、声が震えた。



「主任って……彼女、いますよね?」



知りたいけど知りたくない。それでも絞り出したような声で問いかけると、一瞬困ったような表情に変わったから、あ、やっぱり彼女いるんだ。って、胸がえぐられた。

彼は一度私から視線を外すと、小さく溜息を吐き出す。
そしてゆっくりと身体を起こし、今度はハンドルに頬杖を付いて鋭い目で私を見据えた。

分かりきったことを聞いてくるな。とでも言われるんだろうかと身構えていると。



「なんかそれさっきも言ってた気がするけど…何の話?」



返ってきたのは予想外すぎるものだった。
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