恋の仕方、忘れました
危ない。軽率に告白しそうになる。
でも私にはまだ確認しなければいけないことが残っているから、軽く咳払いをして心を落ち着かせた。



「だ、だったら、あの電話は何ですか。時々女の方としてますよね…」



盗み聞きしていたことが申し訳なくて、思わず小声になる。



「時々って………………妹のこと?」



けれど主任の耳にはちゃんと届いていたようで、私の質問が予想外だったのか主任は何故だか驚いた顔を見せた。
でもその返事に驚いたのは私も同じで、お互い目を見開いたまま見つめ合うという何とも間抜けな形になった。



「妹……」


「え、お前知らなかった?俺に超絶ブラコンの双子の妹がいるの」


「ふ、双子?!いや知らないですよ!妹どころか、主任今まで誰とも私語一切しなかったから身長も生年月日さえも噂でしか聞いたことないのに家族構成なんて知るわけないじゃないですか!」


「俺どれだけ噂されてんの」


「密かなファンは沢山いるんですよ!このモテ男!」



騒ぐ私に対して、主任はもういつもの落ち着きを取り戻しているから温度差が激しい。
さっきまでの感情的な彼はどこにいったんだろう。

それでも、情緒が安定しない私を見ているその目は酷く優しかった。



「てか、まぁその妹なんだけど、さっき言った通りかなりのブラコンでだな」


「自分で言うんですね」


「言えるくらいヤバい。暇さえあれば連絡してくるし、家に押しかけてくる。アイツらのせいで彼女作らなかったっていうのもある」


「え」



そう零す彼は苦笑いを浮かべていて、つられて私の顔も引き攣ってしまった。

< 90 / 188 >

この作品をシェア

pagetop