恋の仕方、忘れました
「そんなことより、主任も悪い男ですね。妹さんに彼女と引き離されそうになったとしても、妹さんを説得すれば済む話じゃないですか」


「…………うん」


「え、なんですかその歯切れの悪い返事」



もしかしてこの人も究極のシスコンなんじゃないかと、一瞬主任のことを変な目で見てしまった。
だけど私の思ってることが伝わってしまったのか、主任に思い切り睨まれて、誤魔化すように視線を逸らした。



「別に、告白されて何となく付き合った人ばっかだったし、まぁいいかなって」


「はい出ましたモテ男発言」


「でも本気でずっと一緒にいる気なら、妹とも長い付き合いになるわけだし、付き合ってる時点で耐えれな
かったら、その先なんか絶対無理だろ」



わ、すごい。
どうしてこの人の発言って人を納得させるものばかりなんだろう。ほんと、彼の仰る通りだ。

でも、主任の言う“その先”っていうのはつまり結婚ってこと。主任も今までに結婚を考えたことがあるのかなって、ちょっと気になった。

例え告白されて何となく付き合ったにしても、付き合っていくにつれ結婚を意識したのかもしれないと思うと、すごく妬けた。

だって自分でよく分かってるから。
歳をとればとるほど、恋って何か分からないし、結婚なんてもっと分かんない。
そうなると、好きだから結婚じゃなくて、相手の性格に経済力、生活力に相性とか全部を引っ括めて見て、それが合格ラインだった時に自ずと結婚という言葉が出てくると思うから。

だから告白された時は相手のことを好きじゃなくたって、結婚は有り得るってことで。

そうなると主任も元カノと結婚を考えたことがあっても全然おかしくないってこと。それってすごく妬ける。



主任が結婚……。
いいな、私も主任のタキシード姿見たい。和装でもいい。その隣にいたい。なんて、烏滸がましいだろうか。

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