恋の仕方、忘れました
「もう二度と他の男について行くなよ」



一瞬何が起きたのか分からなくてきょとんとしている私に投げかけられたのはそんな台詞で、主任はすぐに私の後頭部から手を離すと再びシートに背を預けた。

きっとイノケンさんの煙草の臭いが髪に移ったのだと思って、髪をくしゃっと触ってみる。
そうしながらも考えるのは、今の主任の行動だ。


だって、今のは何だ。
キスするし、他の男について行くなって言うし。
普通告白してきた女にそんな思わせぶりなことする?
それともこれって……。



「主任」


「……」


「今のなんですか」


「……」


「え、主任?」


「……」



突然いつもの寡黙キャラに戻る彼に思わず詰め寄る。

けれど彼は口を開こうともしないし、目も合わそうとしない。

ふと、私遊ばれてる?なんて思ったりもしたけど、主任の顔を覗き込んでみると、照れているようにも見て取れる。

もしかして質問の仕方を変えた方がいいのかもと思い



「私は誰のものですか」



と、控えめに尋ねれば



「…………俺の」



小さく返ってきたのは、私が求めていたものだった。
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