紫の香りに愛されて ゆきずりのコンサルタントに依頼したのは溺愛案件なんかじゃなかったんですけど
玲哉さんが事務所の方を指さす。
「あの車は君のか?」
「ああ、あれ、あたしのっすよ。別れた元ダンナのやつなんすけど、このへん車ないと生活できないじゃないですかぁ」
さらりと離婚歴を披露されても、話についていけない。
「見た目馬鹿みたいだけど、意外と燃費いいんすよ。浮気とDVで別れたんで、それくらいもらっておかないとっていうか、借金だらけであれくらいしか持ってなかったんで」
南田さんが胸の前で腕を組んでふるるっと肩を震わせた。
「あいつ、酔っ払うと顔とか殴るんすよ。子供できたときなんか悪阻ひどいのに無理矢理やろうとして、やめろっつったら腹蹴ろうとするし。マジ最悪でぇ」
なんだか急に重たい話になってきたところで、玲哉さんが顔をしかめながら話題を変えた。
「今井さんっていう人は、今日は出勤してるのか?」
「いますよ。この遊歩道ずっと行って、テラスのところで小さな脇道あるんで、そこ行くと温室あるんですよ。たぶんそこにいますよ」
玲哉さんが目で私に合図してきたので園内に入ろうとしたときだった。
茜さんが私を指さした。
「ていうか、その服、微妙な色っすね」
「ええ、間に合わせの古着なので」
「古着っすか、めっちゃおしゃれっすね」
どっちなのよ、もう。
会話を交わしただけで疲れちゃった。
でも、いってらっしゃぁい、と遊園地のキャラクターみたいに朗らかに両手を振ってくれる。
気分だけは、同じ千葉にあって東京と名のつく夢と魔法の王国に招き入れられているみたいだ。
この薔薇園も東京と名前をつけたせばお客さん増えるかも。
東京でもないし、薔薇も咲いてないしと、苦情が増えるだけかな。
アスファルトの割れ目から雑草がのびる遊歩道を歩く。
せっかくなんだから玲哉さんと二人並んで歩きたいところだけど、道が狭くて後ろを歩くしかないのがつまらない。
噂に聞いていたとおり、薔薇はほとんど咲いていなかった。
つぼみもあまりついていないし、よく見ると、アブラムシがぎっしりとついている株も多かった。
そういえば、ずいぶんと茜さんと話してたけど、その間、お客さんは一組も来なかったな。
「あの車は君のか?」
「ああ、あれ、あたしのっすよ。別れた元ダンナのやつなんすけど、このへん車ないと生活できないじゃないですかぁ」
さらりと離婚歴を披露されても、話についていけない。
「見た目馬鹿みたいだけど、意外と燃費いいんすよ。浮気とDVで別れたんで、それくらいもらっておかないとっていうか、借金だらけであれくらいしか持ってなかったんで」
南田さんが胸の前で腕を組んでふるるっと肩を震わせた。
「あいつ、酔っ払うと顔とか殴るんすよ。子供できたときなんか悪阻ひどいのに無理矢理やろうとして、やめろっつったら腹蹴ろうとするし。マジ最悪でぇ」
なんだか急に重たい話になってきたところで、玲哉さんが顔をしかめながら話題を変えた。
「今井さんっていう人は、今日は出勤してるのか?」
「いますよ。この遊歩道ずっと行って、テラスのところで小さな脇道あるんで、そこ行くと温室あるんですよ。たぶんそこにいますよ」
玲哉さんが目で私に合図してきたので園内に入ろうとしたときだった。
茜さんが私を指さした。
「ていうか、その服、微妙な色っすね」
「ええ、間に合わせの古着なので」
「古着っすか、めっちゃおしゃれっすね」
どっちなのよ、もう。
会話を交わしただけで疲れちゃった。
でも、いってらっしゃぁい、と遊園地のキャラクターみたいに朗らかに両手を振ってくれる。
気分だけは、同じ千葉にあって東京と名のつく夢と魔法の王国に招き入れられているみたいだ。
この薔薇園も東京と名前をつけたせばお客さん増えるかも。
東京でもないし、薔薇も咲いてないしと、苦情が増えるだけかな。
アスファルトの割れ目から雑草がのびる遊歩道を歩く。
せっかくなんだから玲哉さんと二人並んで歩きたいところだけど、道が狭くて後ろを歩くしかないのがつまらない。
噂に聞いていたとおり、薔薇はほとんど咲いていなかった。
つぼみもあまりついていないし、よく見ると、アブラムシがぎっしりとついている株も多かった。
そういえば、ずいぶんと茜さんと話してたけど、その間、お客さんは一組も来なかったな。