先生の愛が激重すぎる件
 ただでさえ、よい印象の男でないだろうに。挨拶もしないで娘に抱き付くなんて最低だろ、俺。

気まずさを引きずりながら明日美の母親の運転する車に乗り実家へと到着した。

洋食店を営んでいたと聞いていた通り、一階は店舗のような作りになっている。その奥の階段から二階に上がりリビングへと通された。

「どうぞ、くつろいでください。下の子たちがいないから静かなのは今だけだけど」

 お義母さんはそういいながらお茶を入れてくれた。明日美の弟たちは小中高とそれぞれ学校へ行っているという。

「改めまして、明日美の母です。忙しいのにわざわざ来てくださってありがとうございます」

 にこり、と微笑まれてほんの少しだけれど緊張が解けた気がした。俺は座ってたソファーから降りるとフローリングの床に正座した。

「こちらこそ、ご挨拶が遅れて大変申し訳ありませんでした。本来なら守るべき順番があるのにこのような形になってしまい、どうお詫びしていいのか分かりませんが……僕は、明日美さんのことを一生大切にするつもりでおります。結婚させてください」

 ゆっくりと、そして丁寧に頭を下げる。すると明日美も俺と同じように床に座った。

「お母さん。いろいろあったけど、先生のことが好きなの。私は正臣さんと結婚して二人でこの子を育てようと思う。いいかな?」

 俺はそっと明日美の手を握った。その手が震えていてやはり彼女も不安なのだと思うとつい目頭が熱くなる。

「……正臣さん」

 名前を呼ばれて顔をあげた。お義母さんの表情は心なしか険しく見える。

「はい」

「明日美がはじめ、独りで赤ちゃんを産むといいだした時、私はあなたのことは絶対に許せないと思った」

 お義母さんがそう思うのは当然のことだろう。もし俺が親の立場だったら相手の男なんてボコボコにしても気が済まないと思うし。

「それに今でも仕事人間でほかの女にうつつを抜かすような人なんて娘のことを幸せにできないと思ってる」

「――お、お母さん! それは誤解だったって言ったよね?」

 慌てて明日美が訂正したが、信用を失うには十分すぎる話だ。

俺が仕事人間なのは事実だし、和美の事だって結局は関係を切れなかった俺が悪い。それに結婚するつもりはあったにせよ予定外で妊娠させたのは男として無責任極まりない行為だった。

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