先生の愛が激重すぎる件
「おっしゃる通りです。だから僕は失墜した信頼を回復するために準備をしてきました。女性問題については、関係を切るために弁護士を通して法的手段にでました。彼女も仕事が大切でしょうから今後一切かかわることはないでしょう」
和美のしてきたことは法に触れるものが多かった。
病院への不法侵入や俺に対するストーカー行為。明日美への恐喝。今まで目を瞑ってきたがこれ以上続くことは許すことはできない。
本来ならもっと早くこうした態度を取ればよかったのだろう。明日美には本当に申し訳ないことをしたと思っている。
「それから仕事の件ですが、明日美さんがこちらで暮らしたいと望むなら僕は喜んで転職するつもりです。幸い、こちらの地域は医師不足とのことですので仕事はすぐに見つかるでしょう。もちろん、仕事漬けにならない条件で採用してもらうつもりです」
俺がそういういと明日美は驚いたように目を丸くしてこっちを見た。
「正臣、本気なの?」
彼女の目を見てゆっくりとうなずいて見せる。今の病院に居たら明日美や生れてくることどもの時間を優先することは難しいだろう。おそらく明日美は『仕事なら仕方がない』というかもしれない。でもその言葉に甘えた結果すれ違いが起きたわけだし、同じ過ちを犯すほど俺も浅はかではない。
「子供が小さいうちは家庭に専念するし、お金が必要になれば死ぬほど働いて稼いでくるさ。東京にはたくさん医者がいるわけだし俺が地方の医療に貢献するのもいいと思わないか?」
「……いいと思う。ありがとう。……お母さん、私は正臣さんと結婚したい。彼と幸せになれるように頑張るから」
お義母さんは「わかったわ」と言って俺を真っ直ぐに見つめる。
「正臣さん。明日美の事、よろしくお願いします」
強張っていた表情緩ませると、目頭を押さえた。大切な娘を守るために必死だったんだろう。今以上に認めてもらえるように俺も精進しなければいけない。
「はい。世界一幸せにします。もちろん、お義母さんや弟さんのことも……みんなの家族にしてください」
その夜。帰宅した弟たちと初めて対面した。あすみは「思春期だから……」と言っていたけれどみんな素直でいい子たちだった。