先生の愛が激重すぎる件
過去につきあった人はみんな年下だった。頼るより頼られる方が性に合っていたから。

社会人になってからは自分のかわいげのなさを自覚するようになった。

仕事柄、根拠やあいまいさが嫌いで医者にだって意見することもある。力仕事も率先してやるし、髪は仕事中に邪魔になりそうなのでショートヘアにして化粧も身だしなみ程度。

お洒落には気を遣うけれど毎月十万円は実家に仕送りしているので無駄遣いはしない。

今日つけてきたピアスもプチプラだ。

「だって私、かわいげもないですよ?」

 先生はそのまなざしを変えない。

「俺はさ、明日美のそういう強がりなところが好きなんだ。しっかりしてて、男に媚びてなくて、でもどこか寂しげで、誰かに甘えたい時もあるんじゃないかなって気になってた。それが俺ならいいのになって思ったりしてな」

この病院へ入職して三年。誰よりも私を見ていたのが先生だったなんて。

「好きだなっておもったけど、年も離れてるし、個人的に誘ったりしたらセクハラって言われるのがオチちだろう? だから昨日、明日美に飲みに誘われてチャンスだって思った。酔った勢いで手を出してサイテーだな、俺。ハハハ……て、明日美? なんで泣くんだよ」

「だって、先生が……」

「ええ、俺? なんか気に障ること言ったか?」

「そうじゃない。嬉しかったの。ううん、ホッとしたの。本当の私をわかってくれる人がいるってわかったから」

明日美はしっかりしている。明日美は強い。ひとりで生きていけそう。

そう言われて生きてきて、自分でもそう思っていたけれど、本当は違う自分もいて。

でもそれを認めてしまったら弱くなってしまうんじゃないかと思ってた。

「本当の自分も何も、明日美は明日美だろ。気の強いところも好きだけど、甘えてくれたらもっと好きになるだろうな……てことで、俺ら付き合う?」

先生は言った。でも鼻の頭は?かなかった。照れ隠しではない、本当の気持ちを伝えてくれたんだと信じたい。

「…………はい。でも、正直言って先生のことはまだ好きとは言い切れませんよ」

 けれど、彼女になってもいいかなと素直に思えたのは事実だ。

「もちろん。大好きになってもらえるように頑張るから、俺」

 そう言われて嬉しかったのは事実で、断る理由も見当たらなかった。

「よろしくお願いします」

「よっしゃー!」

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