先生の愛が激重すぎる件
買ってきた野菜を洗いレタスは適当な大きさにちぎり、トマトは串切り、キュウリは縞目に皮をむいて輪切りにした。容器に詰め、ツナとコーンをのせると保冷バッグに買ってきたドレッシングと一緒にいれた。

それから玉ねぎとマッシュルームを刻んで鶏肉は一口大に切る。フライパンで炒めて塩コショウを振り、少し硬めに炊いたご飯を投入する。ケチャップを入れて混ぜればチキンライスの出来上がりだ。
 
今度は別のフライパンに油をひき、今度は卵を焼く。溶き卵を流しいれ、菜箸でくるくると混ぜながら火を通していく。
半熟を過ぎたころ合いでチキンライスを乗せて卵を纏わせる。

形が崩れないように大きめの容器にオムライスを入れ、上から真っ赤なトマトソースをとろりとかけた。
さわやかなトマトの香りが食欲をそそる。早く先生に届けよう。

マンションを出て、大通りから病院を経由するバスに乗った。

朝はドアが閉まらないくらい満員になるこの路線も、十九時台はガラガラだ。私は席に座るとお弁当の袋をそっと膝に抱えた。

病院に着くころには二十時を過ぎるだろう。

――連絡くらいした方がいいかな。

スマホを取り出して先生にLINEを送るとすぐに返信があった。

《今日は割と落ち着いてる。二階の当直室で待ってるぞ》

「よかった……」

 最初の一文を見て、ホッと胸をなでおろす。

私が働く病院は救命センターが併設されていることもあり、どの診療科も常に忙しい。救急科の医師が緊急手術の必要性ありと判断すれば、当直の外科医が対応に当たる。それ以外の時間は病棟の患者の対応や、書類の作成など暇がないのが現状だ。

だから、急患もいない病棟の患者も問題ない落ち着いた状態というのはレア中のレアだ。

 病院前のバス停で下車し、通用口から院内へ入る。IDカードで途中にあるドアのカギを解除し、先生の待つ当直室へと向かった。
幸い廊下には人の姿はなく、誰にも見られずに済んだ。私は先生に指定された部屋のドアをノックする。するとバタバタと近づいてくる足音に続きドアが開いた。

中から濃紺のスクラブに長袖の白衣を羽織った先生が出てくる。

「明日美きたか~!」

 さっき別れたばかりなのに、まるで久しぶりに再会したかのように嬉しそうな顔をしている。

「……あの、早く中に入れてください。誰かに見られたらいろいろ面倒ですし」

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