先生の愛が激重すぎる件
「あの、ですね。患者さんのことで確認したいことがありまして、荒木先生を呼んでもらえませんか?」
医局で書類整理をしているはずだ。でも高木先生はちいさく首を捻る。
「もう帰ったと思うけど……」
「帰った?……そんな。まだ二十時前ですよ」
夜遅くなると言っていたのに『もう帰った』だなんて。耳を疑った。どうせ夕ご飯も食べないで仕事をしているはずだーなんてお弁当まで作ってきてしまったのに。
「院内にいるのかな……でもカバンもないし」
「どこへいったんですか?」
「それはわからないよ。もし急用なら荒木先生に連絡しようか?」
私に嘘までついてどこへ行ったんだろう。合コン?キャバクラ?それともほかに女ができたとか……。悪い予感しかしない。
「久保さん? どうかした?」
「すみません、高木先生。失礼します」
ペコっと頭を下げて、踵を返した。足早に医局のあるフロアーを抜けて、エレベーターに乗り込んだ。
「どういうことなの……」
これはほぼ黒ではないだろうか。
仕事が忙しいから一緒にいる時間が作れないんだと、そう言い聞かせて我慢してきた。今日だってお弁当を作って会いに来た。それなのに、この仕打ちはなに?
やっぱり先生は女好きの遊び人なのだ。本質は変わらないというし。こんなことになるのなら本気で好きにならなければよかった。
……でも。信じてみたいと思ってた。
私と出会った先生は変わってくれたんだなんて思い上がりにも程がある。
「短い付き合いだったな……」
言い訳は聞こうとは思っている。だけどもう、無理だ。こんな気持ちになるのなら別れてしまった方がいいに決まっている。
病院の外へ出ると雨が降っていた。アスファルトを叩く雨粒がバラバラと音を立てている。梅雨入り間近だと天気予報で言っていたのを思い出す。
あいにく傘は持っていない。バス停まで歩くと濡れてしまいそうだ。
踏んだり蹴ったりとはこのことか。
「最悪……」
深いため息を吐きながら私は歩き出した。すると突然腕を掴まれて庇の下へと引き戻される。
「おい、明日美!」
「……え? 正臣?!」
振り向くとそこには不思議そうに私を見つめる先生の姿があった。
「何してんの、こんなところで」
「そっちこそ。どうして病院にいるの?」
医局で書類整理をしているはずだ。でも高木先生はちいさく首を捻る。
「もう帰ったと思うけど……」
「帰った?……そんな。まだ二十時前ですよ」
夜遅くなると言っていたのに『もう帰った』だなんて。耳を疑った。どうせ夕ご飯も食べないで仕事をしているはずだーなんてお弁当まで作ってきてしまったのに。
「院内にいるのかな……でもカバンもないし」
「どこへいったんですか?」
「それはわからないよ。もし急用なら荒木先生に連絡しようか?」
私に嘘までついてどこへ行ったんだろう。合コン?キャバクラ?それともほかに女ができたとか……。悪い予感しかしない。
「久保さん? どうかした?」
「すみません、高木先生。失礼します」
ペコっと頭を下げて、踵を返した。足早に医局のあるフロアーを抜けて、エレベーターに乗り込んだ。
「どういうことなの……」
これはほぼ黒ではないだろうか。
仕事が忙しいから一緒にいる時間が作れないんだと、そう言い聞かせて我慢してきた。今日だってお弁当を作って会いに来た。それなのに、この仕打ちはなに?
やっぱり先生は女好きの遊び人なのだ。本質は変わらないというし。こんなことになるのなら本気で好きにならなければよかった。
……でも。信じてみたいと思ってた。
私と出会った先生は変わってくれたんだなんて思い上がりにも程がある。
「短い付き合いだったな……」
言い訳は聞こうとは思っている。だけどもう、無理だ。こんな気持ちになるのなら別れてしまった方がいいに決まっている。
病院の外へ出ると雨が降っていた。アスファルトを叩く雨粒がバラバラと音を立てている。梅雨入り間近だと天気予報で言っていたのを思い出す。
あいにく傘は持っていない。バス停まで歩くと濡れてしまいそうだ。
踏んだり蹴ったりとはこのことか。
「最悪……」
深いため息を吐きながら私は歩き出した。すると突然腕を掴まれて庇の下へと引き戻される。
「おい、明日美!」
「……え? 正臣?!」
振り向くとそこには不思議そうに私を見つめる先生の姿があった。
「何してんの、こんなところで」
「そっちこそ。どうして病院にいるの?」