先生の愛が激重すぎる件
「は、はい」

 欲を言えば靴も合わせて購入していけれど、持ち合わせがない。

「そうか。すみませーん!」

 先生は店員さんを呼び、私が選んだワンピースに合う小物を持ってきて欲しいと頼んだ。

「ちょっと、正臣。私そんなに買えないよ」

「いいから」

 店員さんは白いレギンスを持ってきてくれた。

「どうぞ御試着されてみてください」

「は、はい」
 
 私は促さるまま試着室へとはいる。着ていた部屋着のスエットを脱ぎ、ワンピースに袖を通した。

張りがあるのにやわらかくて、とても着心地がいい。ウエストのシェイプした感じもとても素敵だ。

店員さんが選んでくれたレギンスも伸縮性があって履きやすい。

「いかがですか?」
「あ、い、いい感じです」

 試着室の扉を開けると、スクエアトウのミュールが置かれている。

「おお、いいじゃん。それも履いてみろよ」

「うん、わかった」

 おずおずと足を入れてみる。サイズがぴったりで、丈の長めなワンピースにとてもよく合う。

「あとこちらも合わせてみてください」

 そういって店員さんは白のサマーニットを肩にかけてくれた。

「とてもお似合いですよ」

 大げさに褒められて照れながら鏡で全身を見た。ネイビーと白のコントラストがとても上品でおしゃれだ。

「いかがですか? お客様のイメージにピッタリだと思いますが」

「うんうん。よく似合ってるぞ、明日美」

 二人同時に褒められて気恥ずかしさで顔が赤くなる。

「そんなことないよ……」

「なにいってんだよ。これにしよう。全部ください。あと、そこのバッグも」

 先生は棚に並べられていたキャメル色の小さなバッグを指さした。

「え、いいよ。ワンピースだけでいいってば」

 慌てて先生を止めたが聞く耳を持ってはくれない。

「俺が買うんだからっ黙ってろ」

 店員さんはそそくさとバッグを棚から持ってきて、レジのカウンターに置いた。

「こちらでよろしいですか?」

「はい、それで。これ全部着ていくのでタグきってください」

「かしこまりました。ありがとうございます!」

突然連れてこられた店で、洋服一式を買い与えられるなんて漫画家映画の世界だけだと思っていた。それが自分の身に起こると戸惑いしかない。

「なんだよ、あんまりうれしそうじゃないな」

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