先生の愛が激重すぎる件
ダイヤモンドやサファイヤやエメラルドなどの石、コインの形、十字架やハート、素材もゴールドやプラチナなど様々で迷ってしまう。

「これが気になります」

 ゴールドとプラチナが絡み合うようにハートの形になっていて、小さなダイヤがあしらわれている。シンプルだけどかわいさもあるデザインだ。

「ぜひお試しください。お付けいたしましょうか?」

「はい。お願いします」

「どうぞ」と差し出された手鏡を覗き込むと、鎖骨の間に小さなハートがキラキラと揺れている。

「かわいい! ねえ、どうかな?」

「いいね、似合ってる」

 先生はそう言って目を細める。

「だよね。私これにする!」

「即決かよ。他のもつけてみたらいいのに」

 確かにトレイに並んでいるネックレスはどれも素敵だ。でも、とても気に入ってしまったから。

「ううん、これがいいの。いいよね?」

 私がそういうと先生は「もちろん」と頷いてくれる。

「すみません、これをお願いします」

「かしこまりました。こちらは揃いのデザインでリングのご用意もございますがご覧になりますか?」

「いえ、指輪は……」

 普段付けられないのでと断ろうとした。けれど、先生は「お願いします」と言って私に目配せする。

「せっかくだし、見せてもらおうよ」

「見るだけなら……」

 そう、見るだけ。買うつもりはない。でも実際に指にはめてみると嘘みたいに指に馴染んだ。

「お似合いです! 指がほっそりされているのでこれくらいボリュームがある方がよろしいかと思います」

 きっと、ボリュームがなくても『似合う』というのだろうだけど、このリングは確かにかわいい。
 
「……かわいいですね。でも指輪は普段付けられないので、残念ですがまたの機会にします」

「さようでございますか。限定のデザインですのでお気に召していただけたのならお早めに」

「はい。その際はぜひ」
 
 おそらく購入することはないだろう。……のはずだったのだけれど、翌朝目を醒ますと私の右の薬指にはリングがはめられていた。


***


 次の休日、久しぶりに遊びに出かけた小春に私は荒木先生と付き合っていることを打ち明けた。

というよりも、つけていた指輪に小春が気づいたからなんだけど。

「おめでとう。明日美が幸せなら私もうれしい」

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