先生の愛が激重すぎる件
「さすがに俺だってずっと仕事していたわけじゃないよ……旅行に行けなかぅたのは本当に悪かった」

 先生はそういうと私を背中から抱きしめた。強引だけど、どこか遠慮がちに私に腕を回している気がする。

それから息を吸い込んでいった。

「もう許してくれよ、明日美。俺だって明日美と旅行したかったんだぜ。でも、患者が待っていると俺は……」

 ――患者さんを優先するんだよね。そんなこと言われなくたって、

「分かってるよ。患者さんほったらかしにしてきてくれても嬉しくないし、そんな適当な仕事しかできないような人だったら好きになってない」

「……ありがとう。明日美ならわかってくれるって信じてた。愛してるよ」

「私も」

 私は先生の腕の中でくるりと向きを変えた。向かい合ってその胸に顔をうずめると大好きな先生の匂いがする。

「……ねえ、キスして?」

私は思わずそうねだっていた。

先生はゆっくり体を離すと太くて長い指で私の顎先を持ち上げて自分の方を向かせる。

「キスだけでいいのか?」

 それだけじゃ足りない。そんなことは分かっている癖になんて意地悪なんだろう。「抱いてほしい」なんて私から言ってやるもんか!

「うん、いい」

 そう言ってほほ笑むと先生は眉間にしわを寄せる。

「……そんなの、俺が絶えられるわけねえだろ」

 先生はまるで噛みつくように私の唇に唇を押しあてると、まるでむさぼるように激しく舌を絡ませてきた。

「明日美。すげえ好き」

 いいながら胸を揉みしだく。余裕のない先生の態度に密に安堵する私がいる。

これまでだって十分に愛されている実感はあった。けれど、先生の魅力を知れば知るほど私以外の女性に奪われてしまうのではないかという不安が大きくなってきたのも事実だ。

だからこんな風に求められると、先生の愛をより実感できて安心する。

たった数日会えなかっただけなのに、まるで何カ月も会えなかった恋人同士のように互いに求めあいながら夜を明かした。

 翌日、夜勤入りだった私は昼過ぎに目を醒ました。隣にいたはずの先生の姿はない。私を起こさずに何時間も前に出勤したのだろう。

「寝不足だったろうな……」

 ほんの少し申し訳なさを感じながらシャワーを浴びに行った。それから冷蔵庫から冷えたミネラルウォーターを取り出して一気に飲み干す。

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