先生の愛が激重すぎる件
「大丈夫ですか?」

驚いて駆け寄り手首に触れた。体温も問題なさそうだし、脈拍数も正常に近い。意識もありそうだ。

「どうしましたか?」

 私が問いかけると、その人は消え入りそうな声で答えた。

「……めまいがして、気分が……」

「めまいがしたんですね。今すぐ病院へ行きましょうか」 

「平気です。部屋に……少し休めばきっと……」

「分かりました。お部屋までご一緒しましょうか。何階ですか?」

「最上階です」

(最上階!? 何者?って、今そんなこと考えている場合じゃないってば)

 私はその人を支えながら最上階のボタンを押す。

「すぐ着きますからね!」

それにしても身長が高い。かなり痩せてはいるが骨格はしっかりとしている。モデルとかそういった職業の方だろうか。

 失礼かもしれないが、予想うよりも重い……。

「着きましたよ」

「これで、ドアを」

 私は渡された鍵で部屋のドアを開ける。

中に入るとセンサーライトが点灯した。大理石が敷き詰められた広い玄関。奥から黒いラブラドルレトリバーが駆け寄ってくる。そして心配そうにその人の顔を何度も舐めはじめた。

「……ヴェガ。大丈夫だよ」

 大丈夫とは言うが息が上がっている。とても辛そうに見えた。

「早く横になった方がいいですよ。これ、お返ししておきますね」

 私は鍵をその人に握らせる。

「ご親切に送ってくださってありがとうございました。もう、平気ですから……」

「じゃあ、私はこれで……」

 そう言って帰ろうとした。けれど、玄関にしゃがみ込んだまま動く気配がない。全然大丈夫じゃないじゃない。

「やっぱり帰れません。私看護師なんです。ご迷惑でなければすこしお邪魔してもいいですか?」

「迷惑じゃありません。逆に、助けていただけてありがたいです」

 私はその人を支えながら部屋の中へと入った。
 
とても広いワンルームで、部屋の壁の約半分は大きな窓になっている。窓の外は遮るものがなく夜景だけが広がっていた。

先生の部屋と全然違う間取り。

中央にソファーとテーブル。グランドピアノもある。その奥には大きなベッドをみつけた。

「横になれますか?」

 私はその人をベッドの端に座らせた。そして衣類の締め付けをなくそうとデニムのボタンを外した。そこでようやく違和感の正体に気付く。

……この人、男だ!

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