先生の愛が激重すぎる件
そう言って鷹藤さんは私をじっと見た。そこで名前を名乗らなかったことを思い出す。
「ああ名前、お伝えしていなかったですよね。久保です。久保明日美」
「明日美。どうして連絡くれなかったの?」
「ずっと待ってたのに」と真剣なまなざしを向けられて、私は思わず顔を背けた。
「ご、ごめんなさい」
「……謝ってほしいわけじゃないよ」
いいながら鷹藤さんは私の隣のスツールに腰を下ろすとマッカランをストレートでオーダーする。
「明日美はなに飲む?」
「私はもう帰ろうかと思ってて」
それは嘘ではなかった。もう帰るつもりでいたし、鷹藤さんの連れの人たちはすでに酔っているようでとてもにぎやかだ。。
「そうか、残念。一緒に飲みたかったのに。じゃあ、またね」
鷹藤さんは注文したグラスを手に取ると、仲間の要るソファー席へと言ってしまった。
「……じ、じゃあ、また」
正直拍子抜けだった。
もう少し引き留められるかと思っていた。私から連絡しなければ次に会える保証だってないのに「また」だなんていったりして。
でもそのくらいでちょうどいいのかもしれない。私には荒木先生という恋人がいるのだし。
案の定、ひと月ほど経っても鷹藤さんと会うことはなかった。
同じマンションに住んでいても同じ時間に通勤するような生活スタイルでもなければ出くわす確率なんてほとんどない。
その日、私は夜勤明けで、仕事が終わると先生を見つけて駆け寄った。
「今日は帰ってこれるんだよね?」
そう小声でささやくと、先生は小さくため息を吐く。
「……無理だろ。今日は大きなオペが二件。それ以外のも合わせたら六件だ」
「でも前から約束していたじゃない」
「されてたっけ? わりぃ、記憶にない」
カレンダーにも書いておいたのに……。
高木先生が病院を辞めてから荒木先生に仕事の負担がのしかかっているのは知っていた。だから極力「会いたい」とか「いつ帰ってくるの」とか負担になるような言葉は言わないようにしてきたつもりだ。
だけど、だからって、約束すら忘れるなんて酷すぎる。
「……ああそうですか。わかりました」
かわいげのない言い方をしてしまったと思ったが、取り繕う気持ちにもなれなかった。案の定先生もむっとしたようで、
「おい、なんだよその言い方は!」
「ああ名前、お伝えしていなかったですよね。久保です。久保明日美」
「明日美。どうして連絡くれなかったの?」
「ずっと待ってたのに」と真剣なまなざしを向けられて、私は思わず顔を背けた。
「ご、ごめんなさい」
「……謝ってほしいわけじゃないよ」
いいながら鷹藤さんは私の隣のスツールに腰を下ろすとマッカランをストレートでオーダーする。
「明日美はなに飲む?」
「私はもう帰ろうかと思ってて」
それは嘘ではなかった。もう帰るつもりでいたし、鷹藤さんの連れの人たちはすでに酔っているようでとてもにぎやかだ。。
「そうか、残念。一緒に飲みたかったのに。じゃあ、またね」
鷹藤さんは注文したグラスを手に取ると、仲間の要るソファー席へと言ってしまった。
「……じ、じゃあ、また」
正直拍子抜けだった。
もう少し引き留められるかと思っていた。私から連絡しなければ次に会える保証だってないのに「また」だなんていったりして。
でもそのくらいでちょうどいいのかもしれない。私には荒木先生という恋人がいるのだし。
案の定、ひと月ほど経っても鷹藤さんと会うことはなかった。
同じマンションに住んでいても同じ時間に通勤するような生活スタイルでもなければ出くわす確率なんてほとんどない。
その日、私は夜勤明けで、仕事が終わると先生を見つけて駆け寄った。
「今日は帰ってこれるんだよね?」
そう小声でささやくと、先生は小さくため息を吐く。
「……無理だろ。今日は大きなオペが二件。それ以外のも合わせたら六件だ」
「でも前から約束していたじゃない」
「されてたっけ? わりぃ、記憶にない」
カレンダーにも書いておいたのに……。
高木先生が病院を辞めてから荒木先生に仕事の負担がのしかかっているのは知っていた。だから極力「会いたい」とか「いつ帰ってくるの」とか負担になるような言葉は言わないようにしてきたつもりだ。
だけど、だからって、約束すら忘れるなんて酷すぎる。
「……ああそうですか。わかりました」
かわいげのない言い方をしてしまったと思ったが、取り繕う気持ちにもなれなかった。案の定先生もむっとしたようで、
「おい、なんだよその言い方は!」