先生の愛が激重すぎる件
「もちろん。赤でも白でも。カクテルも作ればあるよ。ああでも、ロストビーフなら赤がいいかな」

  鷹藤さんは私の荷物をもってリビングへ入っていく。私は彼に続いて部屋にはいった。

リビングはダウンライトに照らされていてホテルのラウンジのような雰囲気だ。

「そこのソファーに座って。僕はワインとグラス出してくるから」

「はい、失礼します」

 私はリビングに置かれた白いL字ソファーに腰を下ろした。

まるでマシュマロの上に座ったかのような座り心地だ。なんとなく落ち着かず、床に膝立ちになると持ってきた料理とケーキをテーブルの上に並べる。

「あの、鷹藤さん。取り皿ってお借りできますか?」

 キッチンにいる彼に声をかけた。

「もちろん。ほかには何が必要?」

「すみません。お箸やフォークもお借りしたいです」

「オーケー」

 鷹藤さんは手際よく食器を出してならべてくれた。広めのテーブルが埋め尽くされて、我ながらよく作ったものだと感心する。

「さあ、いただこうか」

 お勧めだというナチュラルワインで乾杯すると、鷹藤さんは「おいしい」といいながらたくさん食べてくれる。

「お口に合いますか?」

「どれもおいしいよ。明日美って料理上手なんだね。ヴェガも満足したみたいだよ」

 中心部分のお肉を切り分けて与えると、ぺろりと平らげて専用のソファーでうたた寝を始めている。

「よかったです。今日はありがとうございました」

 私のわがままを聞き入れていくれて、それからここへ押しかけた理由を聞かないでいてくれて。

「ううん、僕の方こそ美味しい料理をありがとう。お礼と言っては何だけど」

 鷹藤さんは立ち上がるとピアノの椅子に座った。そして細くて長い指先で鍵盤をはじく。

「この曲は」

 鷹藤さんが引いてくれたのは、誕生日を祝う曲だった。私は驚きで目を見張った。

「……どうしてわかったんですか? 私の誕生日だって」

 ワインに酔って饒舌にはなっていたかもしれないけれど、今日誕生日だってことはひとことも話していないはずだ。

「どうしてって? それは僕がエスパーだから」


「ごめんごめん。実はケーキの箱の窓からHappy birthdayのメッセージが見えちゃってさ」

「……そうだったんですね。恥ずかしい」

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