先生の愛が激重すぎる件
 先生はそういうと、あれこれと注文していく。どれも私の好きなものばかりで嬉しい反面支払いできるかどうかと不安が募る。

「あと、生ビールをおねがいします、明日美もそれでいい?」

「あ、はい。いいです」

 足りない分は建て替えてもらって分割払いでお願いしよう。

ビールとお通しが運ばれてきて、私たちは乾杯をした。キンと冷えたグラスで飲むビールはとてもおいしい。

「おいしいですね」

「うん、うまい。ってどうした、元気ねえな?」

 先生は私の顔を覗き込んだ。そんなに顔に出ていただろうか。先生に気付かれたくなかったのに。

「いえ、そんなことないです」

 私は笑顔を作り、首を左右振った。

「来たかったお店なので、すごく嬉しいです。ただ、思ったより大人なお店だったので緊張しちゃってて」

 緊張しているのは事実だ。里奈が絶賛していたから来てみたかったのだけれど、居酒屋とは名ばかりの超高級店だったのだから。

「大丈夫。明日美は大人っぽいし美人だから! たくさん食べろよ! 俺のおごりだ」

「そんな、私も払います」

 昨日のバーでもおごってもらった。連日ごちそうになるわけにもいかない。

「俺が誘ったんだし、好きな子にいい所見せたいのが男ってもんだろ?」

「……好き、な子?」

 私は目をしばたたかせた。

それはつまり荒木先生が私を好きということ?

「なあ明日美、俺と付き合わない?」

 いいながら先生はまた鼻の頭を指で掻いた。

「ええ! 付き合う? 私と先生が?」

 思いのほか大きな声が出てしまい、慌てて口を手で押さえた。店員や客が何事かとこちらを見ている。

「おまえ、そんなに驚くことでもないだろ? 昨日セックスだってしてるし」

「ま、まあそうなんですけど……あれは……」

 酒の勢いというか、雰囲気に流されてというか、いわゆる一夜の過ちのようなものだと考えていたけれど、先生はそうじゃなかったということか。

だから『やり逃げするつもりかとおもった』なんて言ってきたんだ。

「なんていうか、順番が逆になってしまったけど、ちゃんと俺と付き合ってくれないか?」

 突然こちらを向き、姿勢を正す先生。

「待ってください。先生ってたくさん彼女がいるんじゃなかったですか?」

 合コン三昧の女好きは単なるうわさではないはずだ。

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