先生の愛が激重すぎる件
「って、みんな言いますよね。とにかく調べた方がいいですよ。産むにしても産まないにしてもきちんと向き合うべきです」

 丁度そこにオペ室から電話が入った。先ほどの患者さんは術後、ICUに入ることになったという内容だった。

「ということは、僕はようやく解放されるってことですね」

 ん-と背伸びをすると先生は椅子から立ち上がる。

「これ、もしよければ」

 そういうと先生は名刺を差し出した。みると予約が取れないことで有名な産婦人科医院の名前が書いてある。

「本院は混むから駅前にあるクリニックの方をお勧めします」

「あ、あの」

「じゃあ、おつかれさま~」

 相原先生はナースステーションを出ていってしまった。荒木先生が戻ってくるまでいた方が印象はいいと思うのにそういう体裁はどうでもいい人なんだろう。

「いっちゃいましたね、先生」

 野原さんは呆れたような顔をする。

「そうだね。……ああ、なんだかごめんね、野原さん。変な話に付き合わせて」

「いえ。私もそうかなって思ってました」

 はっきりとそう言われて私は面食らった。

「久保さん体調悪そうにしてたし、もしかしたらつわりなんじゃないかなって……生理きてます?」

「ううん……来てない。ストレスで遅れてるのかなって思ってて……」

「つまりそうやって真実から目をそらそうとしていたわけですね」

「そう、だね」

 観念したように項垂れると、野原さんはまっすぐに私を見て言った。

「夜勤終わったら病院行ってきてくださいね。もし一人で行くのが怖いなら私付き合いますよ」

「野原さん、ありがとう。ひとりで大丈夫」

 「ちゃんと向きあうから」そう自分に言い聞かせるように呟いて私は下腹部にそっと手をあてた。


***

「久保明日美さん。どうぞ、お入りください」

 診察室に呼ばれていくときれいな女医さんが迎え入れてくれた。

「はじめまして。院長の相原です」

相原先生が紹介してくれたのはセレブ病院で有名な有名産婦人科病院の分院であるクリニック。院長の名前は相原有理。顔が似通っていて姉弟なのかもしれないと思った。

「よろしくお願いします。久保明日美です。実は今、相原有紀先生と同じ病棟で働いてまして、それで……」

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