サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)
見なければいいのに気になってしまって……。
メールや留守電だけチェックすればいいものを、ついつい指が勝手にそのニュースをタップして―――。
『都内の有名ホテルで密会デート』
『赤色でラブラブリンクコーデ』
『Z氏は都内の病院に勤務する女医とも交際中』
『御曹司の二股疑惑発覚?!』
昨日の報道ですらまだ彼から話を聞いてないのに、新しい記事まで出て来た。
しかも、その写真の日時は一時間ほど前で、特ダネスクープとして扱われている。
相手の女性とのツーショットは無いけれど、同じホテルからほぼ同時刻に出て来たショットが掲載されていて。
ほんの一時間前に彼が彼女と会ったということを示しているのは確実だ。
そして、ついに私との関係もニュースに取り上げられるまでに。
別に郁さんを疑っているわけではない。
嘘が嫌いな彼だから、私に対して疚しいことはしないはず。
嘘を吐くくらいなら、あえて説明しないという手法を取るだろう。
今の私に出来ることは、彼を信じて待つしか出来ない。
『今朝は差し入れ、ありがとうございました。スタッフの分まで、いつもすみません』
更衣室を後にし、駅へと向かいながら何事も無かったように郁さんにメールを打つ。
すると、すぐさま返信が来た。
『嫌な思いさせてすまない。なるべく早くに帰るから、少し話そう』
大丈夫。
郁さんはちゃんと話し合おうとしてくれている。
今すぐ声を聞きたいところだけど、まだ仕事中のようだから我慢しないと。
家で待っていれば、彼から直接聞けるのだろうから。
病院の正面玄関を出て、地下鉄の駅へと向かおうとした、その時。
「あの」
「……はい?」
「環……彩葉さんですよね?」
「………ッ?!」