サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)
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彩葉のメールに返信して、残りの仕事をしようとした、その時。
「本部長っ!!」
「ノックもせずに」
「見て下さいっ、これを!」
珈琲を置いて部屋を出て行った酒井が、血相を変えて戻って来た。
酒井の手元にあるタブレットに視線を落とすと。
「フフッ、……そう来たか」
「笑ってる場合じゃないですよ」
「株価と役員の動向を把握してくれ」
「本部長は?」
一時間ほど前に釘を刺したのにも関わらず、更なる荒手な手法で攻撃して来やがった。
タブレットに表示されているのは夕刊の速報版で、俺とあの女と、そして彩葉を巻き込んでのガセネタ。
出来れば避けたいところだったが、相手が一方的に攻撃して来たのを黙ってる訳にもいかない。
最愛の女性を傷付けるようなことは、決して許せないから。
何も手を打ってないわけじゃない。
万が一の時のことを考えて、既に手は打ってある。
「死刑宣告してやらないとな」
財前の口角が緩やかに持ち上がった。
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「本部長、社長がお呼びです」
「……ん」
夕方の報道で、『新恋人の存在』やら『二股疑惑』というのが放送され、夕刊の一面トップに一時間ほど前にホテルから出てくるところをキャッチされ、それが勝手に使われてしまった件で、社長である父親の逆鱗に触れたようだ。
体裁を気にする父親は普段は温厚な性格だが、こういったスキャンダルは特に厳しい。
その昔、愛人をつくってその女性との間に子を授かったことが原因で、精神的に相当ダメージがあったと母親から聞かされている。
自らの過ちは、自分の手で摘み取らねばならないと、祖父から嫌というほど教え込まれたらしい。