サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)

無意識に葛城先輩にメールをしていた。
他に聞ける人がいないんだもん。

『ASJの株の事か?短期的ならとりあえず問題ないと思うけど、長期的な値下がりは資金調達や人材確保の面において痛手を被ることになる。出来るだけ早い段階で損失補填したりして、回復出来れば問題ないはず』

さすが、先輩。
分かりやすい。
短期なら……。
ということは、この状態が継続的にならなければいいということ。

「和久井さんが私に何をさせたいのかは分かりませんが、彼の性格上、こういった水面下でのやり取りは致命的だということをご存じないのですね」
「っ?!」
「彼の何を知ってるのかは存じませんが、彼はあなたが思うような人物ではありませんよ」
「どういう意味?」
「見た目や家柄など、完璧ともいえるスペックを持っていますけど、性格は……ウフフッ、……そうですね~『悪魔』が一番近い表現かしら?仕事と自身のテリトリーの中に入れた人物以外には、容赦ないですから」
「………」
「ご存じなかったですか?交際してても、別の男性を紹介しようとする人ですよ?何回か会ったくらいの人に彼が左右されるとは思いませんけど」

売り言葉に買い言葉。
言われ放題のまま黙ってられない。

この四年弱、私だって相当苦労した。
大好きでもそれだけじゃダメだってことくらい。
財閥の御曹司の相手に相応しいように、私だってそれなりに努力して来た。

彼はただの御曹司なんじゃない。
もちろん、ハイスペックだけども、それだけじゃない。

強迫性障害を甘くみたら痛い目みるんだから……。

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