サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)
*
仕事を終え、帰宅したのに彩葉の姿が無い。
緊急オペの要請を受けたとメッセージがあったが、今日も帰宅せずに仕事漬けなのだろうか?
普段から時間外の呼び出しが多いのに、毎年年末年始の時期は恐ろしいほどに仕事漬けになる。
元々仕事熱心なうえ、今年は准教授の選定もかかっているから尚のこと。
俺が仕事をセーブしろと言ったところで、手綱を緩めるような彼女じゃない。
だからこそ、心配になる。
点滴を打ちながらでも仕事をしているのでは?と……。
冷蔵庫の中に作りかけの料理がある。
材料を切ったままのものやボウルに混ぜ合わせたものなど。
仕上がっていなくても、こうして作ろうとしてくれているだけで胸が熱くなる。
料理が苦手な彼女が、忙しい合間に努力してくれているという事が。
ダイニングテーブルの上にメモを残す。
『俺の方は大丈夫だから、しっかり栄養を摂って、出来るだけ休息を取るように』と。
メモを残しても気休めなことくらい分かっている。
それでも労わる言葉は必要だ。
何事にも全力投球な性格の彼女だから。
*
三時間ほど寝て、再び会社へと向かった。
今はゆっくり寝ている暇は無い。
株価のリカバリーは勿論だが、あの女を一撃で仕留めるための準備を万全にしなければ。
*
「本部長、アポイントの予定がこちらになります」
「ん」
「それから、これに幾つか纏めましたが、これだけでは足りないように思います」
「ん〜、そうだな……。空港の情報も追加出来るか?」
「承知しました」
「母親へは俺の方から打診してみる」
「お願いします」