サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)

ルームサービスを頼んだけど、注文した料理は全て提供されたはずなんだけど?
何か、残ってるものがあったかしら……?

和久井はドアを開けた、その時。

「失礼致します」
「えっ、何ですかっ?!」
「部屋を片付けますので、数分お時間を頂きます」

黒いスーツを身に纏ったスレンダーな男性。
丁寧にお辞儀した男性の背後から、同じ服装の男性が三人現れ、有無を言わさず室内に侵入して来た。

「ちょっとっ!!」
「手荒な真似はしたくありませんので、作業が終わるまでこちらは預からせて頂きます」

リーダー格の男は和久井からスマホを取り上げ、スマホ内に証拠が無いか素早く確認する。

「何勝手なこと言ってんのっ?!ちょっと返してよっ」
「お静かに」

突然部屋に現れた黒づくめの集団。
酒井が手配した、財前家の処理班だ。
手際よくテーブル周りの一式が、そっくりそのまま新しく変えられ、料理やシャンパンに関しても同じものがテーブルにセットし直された。

「完了しました」
「ご苦労」

ナイフがめり込んだテーブルまであっという間に取り換えられた。

室内に残ったのはリーダー格の男と和久井のみ。
シルバーフレームの眼鏡越しの瞳は温度が無いように感じられる。
あまりの威圧感に、思わず後退りしてしまった。

「お待たせ致しました。こちらをお返し致します」
「……ホントに何なの……。……財前さんに頼まれたの?」

冷視線を浴びせる男の顔色を窺いながら尋ねる。

数分前から味わった事のない出来事ばかりが続く。
気持ちを切り替えようと、フゥ~と息を吐いた、その時。

「あまり深く知ろうとすると、身を滅ぼしますよ」
「っ……」

男は和久井の耳元にそっと呟いた。

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