サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)

「はい」
「処理完了しました」
「ご苦労様」
「スマホ内も確認済みです」
「ん、助かった。あ、須崎」
「はい」
「明日も待機しててくれ」
「了解です」

酒井に報告をした、この男。
財前家の処理班のリーダーである須崎 (つとむ)(三十八歳)。
見た目はインテリ系だが、武術は出来るし、ITにも詳しく、危機管理能力が財前家に使える従業員の中でも突出している。
表には出ないが、常に財前家の核の部分に属している、特別な男だ。

**

「すみませんっ。さっき、通路でストーカーの男に出くわして、……防犯カメラの画像を確認させて貰ってもいいですか?」
「お客様のお部屋の番号……、ルームキーをお預かりしても宜しいでしょうか?」
「あ、はいっ!」

和久井はルームキーをフロントに手渡す。
室内の画像を証拠に残せないなら、あの人たちが部屋に入るところくらい押さえておかないと。

「お客様、大変申し訳ございません。こちらの階は、本日十四時より十五時迄の間、メンテナンス作業に伴いまして、画像記録がございません」
「そんな馬鹿なっ!」
「大変申し訳ございませんが、当ホテルのチェックインは十五時からとなっておりまして。お客様のお部屋は、一時利用のご予約と承っております」
「っ……」

えっ、……もしかして、これもあの人の仕業?!
だって、『会って話がしたい』と私が言ったら、あの人が場所と時間を指定して来た。
だとすると、防犯カメラの画像なんて、最初から渡すつもりなんて無いってことじゃない。

「お客様?……ご利用時間を超過しておりますが、ご延長なさいますか?」
「……いえ、結構です!」

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