サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)

真横まで来た彼は、腕組した状態で視線を上下に動かす。
値踏みするかのように全身チェックをされているようだ。

「おかしいかしら?」
「………」

スルーされた。
もう、何なの?!

一応これでも、お嫁さんにしたいナンバーワンアナウンサーとして三年連続首位を独占してるんですけどっ!
自慢じゃないけど、ミスキャンパスだったし、大手芸能事務所からもスカウトされてるんだから!

プイっと視線を逸らして、テーブルの上にあるスマホに手を伸ばした、その時。

「ッ?!……っ」

上品で爽やかなシトラスの香りを纏った腕が伸びて来て、私の顎を掴んだ。

「寝不足か?」
「っ……」

無理やり顔が左右に振られる。
パッと見の全身チェックだけでは気が済まないらしい。
顔を近づけ、美顔にまじまじと見つめられ、思わず上気するのが手に取るように分かる。

「フッ」
「っ……」

くっ、悔しい~~っ!!
毎日のように局でイケメン俳優だとか顔面偏差値の高い男性アイドルを嫌というほど見ているのに。
何故か、男の色気がハンパない彼に煽られ、不覚にも紅潮してしまった。
しかも、そんな私を軽くあしらうかのように鼻で笑ってる。

もうっ!!
振り回すつもりが、完全に振り回されてるじゃないっ!!

パッと顎を掴む手が離れた、次の瞬間。

「ッ?!!!」

後頭部をがしっと掴まれ、彼の口元が急に近づいた。
なっ、何する気……?
……キス??

僅かに顔を傾けた彼が、すぐ傍にいる。

キスするような、そんな甘い雰囲気は微塵も無かったのに……。

「な、……なっ、に?」
「……いや、別に」

別にって、何?
本当にこの人って、掴みどころがない……。

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