サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)



「お前、バイセクシュアルか?」
「っ……、違っ「じゃあ、何で赤くなってんだよ」
「んっ……」

記者会見を行う会場入りした俺は、あの女の様子見に奴の控室に顔を出した。

普段テレビで観るようなカチッとしたスーツ姿ではなく、上品なワンピース姿で。
けれど、見惚れるとかドキッとするなんてことは微塵もなく。

俺と彩葉を地獄に招待するような女だ。
視界に入れるのも反吐が出る。
今すぐ息の根を止めたいほどだ。

服にしてもメイクにしても頑張ったのだろうが、全然に合ってねぇ。
キラキラのラメを施したらいいとでも思ってんのか。
高級な香水を振りまいたらモテるとでも思ってんのか。
半径一メートル以内に近づいたら吐気がしてきた。

「時間になったら声を掛けるから、それまでリラックスしておくんだな」



「酒井、会場の様子はどうだ?」
「準備万端です」

自身の控室でリラックスする財前。
その表情は愉悦に浸っているようだ。
目元を細め、ほくそ笑んでいるかのように……。

「会見の後は……」
「ご心配なく。万事準備しておりますので」
「……助かる」
「私の方こそ、感謝してます」
「……何に?」
「よく今日まで持ち堪えれましたね。私はもう……」
「フッ、……心配かけて悪かったな」
「……いえ」

二人にしか分からない世界。
財前が高校生の頃から財前家に使える酒井は、善き兄のような存在でもある。
社長である父親の秘書ではあるが、並大抵の人間では到底務まらなかったであろう。


スマホで各局の中継の様子をチェックしていた、その時。

「本部長、お時間です」

郁はスマホをポケットにしまい、スッと立ち上がる。
その瞳には狂気の色が滲んでいるのを酒井は見逃さなかった。

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