サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)
再び羽田空港の画像に切り替わった。
毎日のように目にした、元職場の入口の画像。
その入口脇の壁に凭れるようにしてスマホを眺める彼の姿が映し出された。
普段の仕事用の三つ揃えのスーツではなく、少しカジュアルな服装の彼。
……知ってる、その服。
彼の横にある物でいつの画像か、直ぐに分かってしまった。
クリニックの自動ドアから出て来たのは、もちろん私だ。
しかも、恥ずかし過ぎるくらい満面も笑みを浮かべて。
右手にキャリーケースを手にし、肩からポシェットをかけて。
空いている左手は、差し出された彼の手をぎゅっと掴んだ。
彼もまたもう片方の手に小さなのキャリーを手にして、肩を並べて歩く姿が。
ドキュメンタリーのように追われている画像は、『出発 Departures』と書かれたゲートの奥へと姿を消した私達を映していた。
*
「キャア~ッ!彩葉ちゃん、凄く綺麗ぇぇ~っ!!」
「っ……」
これまでの防犯カメラの画像と違い、画質も全く異質なもの。
だって、これ……香港旅行の写真じゃない?
薔色黄大仙廟で参拝した時の写真だ。
地元の人に彼が頼んで撮って貰ったやつ。
……ってことは、彼のスマホに残ってた画像?
次の写真は、スニーカーストリートで買ったお揃いのスニーカーを履いた、二人の足下の写真だ。
「うわぁ~、ラブラブだねぇ~♪」
「っ……」
ちょっと、郁さんっ!!
こういうのは、勝手に世に出しちゃダメなやつでしょ!
そして、旅を締めくくるように映し出されたのは、海を眺め燥ぐ私の後ろ姿だ。
風にワンピースのスカートが靡き、長い髪を手で押さえながら風を感じている……あの日の一コマだ。