サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)

二十畳ほどの茶室に二畳ほどの毛氈(せんもう)が敷かれていて、その上に白木台。
更にその上に広蓋が置かれ、超豪華な結納品一式がずらりと並ぶ。

ワイプにおさまる彼にフラッシュが当たっているのが分かる。
眩いほどの閃光が小さなワイプからも伝わって来る。

財前家が用意した結納の品の豪華さに、報道陣も釘付けなのだろう。
だって、御帯料と書かれた熨斗が置かれた白木台は、他の白木台より数倍も大きい。
ううん、違う。
あり得ないほどの大きさの白木台なのだから。
そして、その上には白い和紙で包まれたものが、積み木を積み上げたかのように置かれているのだから。

「凄い結納品だね、さすが財前家……」
「っ……」

日本屈指の財閥でもある御影のご夫妻が仲人というのも、報道陣のかっこうの餌になっているのは間違いない。
ワイプからは伝わるのは、ストロボのライトがずっと彼に向けられているということだけ。
あんなにも閃光を浴び続けて、眼の状態が悪くなったりしないだろうか。
……それだけが、心配になる。

ちょっと前までは、別の感覚で恥ずかしさが勝っていたけれど。
今はもう諦めの境地というか、どうでもいいと思えるくらい、彼の眼の状態が気になってしかたない。

結納の儀が滞りなく執り行われ、御影夫妻と郁さんのご両親が隣りの部屋へと移動したのを見計らって、彼に声を掛ける私が映る。
今でも覚えている。
あの時の会話を。

『俺なりに努力した結果なんだけど』
『え?』
『いや、……母親が、彩葉のために専用ジェット機用意するだの、車とマンションは必須だの言い出して、父親と結構宥めた結果だから』

御帯料という結納金のありえない額に驚愕した私は、彼に詰め寄った。
そんな彼から返って来た言葉は、想像を遥かに超えるもので。
それを聞いて、正直結婚自体を白紙に戻そうか、一瞬本気で考えたほどだ。

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