サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)



会見場の外に出た財前は壁に凭れかかり、女が出て来るのを無言で待っている。

十分ほどして、スタッフに抱えられるように出て来た和久井 沙雪。
顔面蒼白といった表情で、足下もおぼつかないほど意識が朦朧としているようだ。

「お前の思い通りにならなくて、悪かったな」
「っ……」
「この俺を使おうだなんて、百万年早ぇんだよっ」
「ッ?!」

ワンピースの襟ぐりを掴み、壁へと押し付ける。
女だろうが容赦ない。

「俺と彩葉に地獄を味わせた罰だ。……二度と俺らに近づこうとすんな」
「っ……」
「今後、うちの会社や彼女に復讐しようもんなら、もっと恐ろしい地獄を見舞ってやるから、覚悟しろ」
「んっ……」

腕で首を絞め上げるように力が入る。
和久井はあまりの恐怖と息苦しさに震えが止まらない。

「本部長」
「……チッ」

数分前の財前からは想像も出来ないほど、その瞳には狂気の色が滲む。

「酒井」
「はい、本部長」
「後は頼んだ」
「お任せ下さい」

和久井から手を離した財前は、一瞬で表情を変えた。
その表情からは、恋焦がれる男の溢れんばかりの恋慕が……。

財前はホテルの裏手に用意してある車に乗り込み、葛城の携帯に電話する。
以前彩葉を介して何度か食事をした仲だ。

『はい、葛城です』
「財前です」
『こんばんは』
「……こんばんは」
『会見、観ました』
「まだ仕事中ですか?」
『今から帰宅するところですが』
「彩葉、……彼女は今、どこにいますか?」
『一つだけ約束して下さい』
「……はい」
『アイツが選択したことを責めないでやって下さい』
「どういう意味ですか?」
『貴方の前から姿を消そうとした、理由です』
「………責めたりしませんよ」
『男に二言は無いですよね?』
「……はい」
『はぁ……』

電話越しに葛城が安堵の溜息を零したのが分かる。

『彩葉は、私の家にいます』


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