サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)
どういうこと?
じゃあ、何か……。
あの朝、俺は彩葉のすぐ傍にいたってこと……?
『安静にしてないとならないので、迎えに来るなら、引き取った後の準備を整えてからにして下さい』
そうだった。
こいつは医師だ。
彼女が尊敬するほど、腕の立つ医師。
「それは、病院の方がいいのでしょうか?それとも……自宅でも?」
『輸液……点滴自体は本人が自分で替えられますけど、食事とか洗濯とか掃除とか、身の回りの世話をしてくれる人がいないとアイツが嫌でも動こうとするので、出来れば完全看護のような場所が望ましいです』
「分かりました。直ぐに手配します」
『財前さん』
「……はい」
『彩葉のこと、頼みます』
「……言われなくても」
『アイツ、辛いことがあると無理に虚勢張る癖があって。職場も男社会ですし第一線を張って来た分、強がってますけど……本当に心根が優しいやつなんで』
「……はい」
『今は身も心も病んでるから、でっかい心で受け止めてやって下さい』
「はい」
『じゃあ、妻に連絡入れておきます』
「あ、あのっ」
『はい』
「私が迎えに行くこと、彼女には内緒にして貰えませんか?」
『サプライズってことですか?』
「そう……なりますかね」
『分かりました。妻にその旨も話しておきます』
「何から何まで、本当に有難うございます」
『いえ、友人として当然のことですから。それと、ご婚約おめでとうございます』
「有難うございます」
ツーツーと無機質な音が耳に届く。
『彩葉』と呼び捨てにされるのは相変わらず腹が立つが、具合の悪い彼女を助けてくれた恩人だ。
聞かなかったことにしてやる。