サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)
山や島などの上空は積乱雲が立ちやすい。
着陸態勢に伴う管制(空港間の空域の管制)の誘導を受けながら、南房総の最南端の野島崎から房総半島上空を高度を下げている機体に、小刻みのような揺れが……。
エンジン出力を少し絞り、小さめなCBに侵入する。
夜間の飛行に加え、窓から見える景色は白とグレー色をした雲の中。
単なる霧の中ならまだしも、発達した雲の中は、気流の変動もかなりある。
およそ十秒ほどでCBを抜けた、次の瞬間。
すぐ左前方のCBが発雷(鋭く発光)し、アクティブなCBを目視で捉えた。
機体は被雷したとしても、多少の損傷はあれど、飛行を維持できるような構造をしている。
だが被雷し、過電流による計器の故障は否めない。
計器が故障すれば、飛行自体が困難を極める。
現在ではデジタル化がどんどん進み、オートモードで操縦し易くなり、操縦士の負担は軽減された。
けれど、それらの機器が故障した場合、墜落の可能性も高くなる。
それゆえ、出来るだけCBを回避しながら飛行しなければならない。
左翼の二次操縦翼面を立ち上げ、発生揚力の減速を図りながら、右翼を下げるように機体を傾けて、アクティブなCBを回避する。
気流による揺れの衝撃ではなく、機体をロールさせることで乗客の体が右側へと傾き、負担をかけてしまう。
だが、アクティブなCBに真正面から突入することを考えれば、これが最善の選択である。
僅かに右に旋回するようにした機体は、本来の飛行ルートから僅かにずれが生じる。
財前は周辺の発達したCBを見極めながら、最小限の回避と最善の操縦をこなし続ける。