サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)

羽田空港の風向きが南風だと、着陸に使用されるのはBまたはD滑走路だ。
A滑走路が三千メートル、BとD滑走路が二千五百メートル、C滑走路が三千三百六十メートル。

ボーイングB777-300の着陸に必要な滑走距離は千七百七十メートル。
大型機でほぼ満員のASJ322は、出来ればAかC滑走路で着陸したいところだが、風向きが合わなければ仕方ない。
必要最低限の滑走距離は保たれているのだから、あとは腕次第。

財「Check、Airspeed、Geardown」
奥「Geardown」

財前の指示により、奥菜はギアレバーを操作する。
車輪(ギア)(正確にはランディングギア)が格納されているドアが開き、ギアが下ろされ、再びドアが閉まる。

この操作は、トップスピード内で行わなければならず、その為にエアスピードをチェックするようにコールがかかるのだ。

着陸自体は自動着陸装置(オートランディング)で行われる。
デジタル化が進み、パイロットの負担が軽減されているとはいえ、高い操縦技量が求められるのが着陸時の操縦だ。
操縦の中でも最も緊張する時間帯である。

管制塔(タワー)からの指示はD滑走路。
羽田空港の南に位置している離れ小島。

二千五百メートル以内で着陸出来なければ、海に墜落してしまう。
とはいえ、着陸出来ないと判断すると同時に機首を上げながらエンジン出力を上げ、フラップ(主翼の発生揚力)を閉じなければならない。


D滑走路の閃光する進入路指示灯を捉え、財前に再び緊張が走る。

ほどなくしてランディングギアが滑走路に接地し、主脚が回転し始めるとフラップが開き、車輪ブレーキ(ABS)が自動で作動する。

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