サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)

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「彩葉、部長が呼んでるぞ」
「えっ……」

回診を終え、ナースステーションで電子カルテを入力していると、遅番勤務の葛城先輩が声を掛けて来た。
『部長』というワードに入力する手が止まる。
しかも、私を呼んでいるというではないか。
……また、要らぬ仕事を擦り付けられそうで溜息が零れる。

仕方なく重い腰を上げ、部長がいるであろう医局へと向かう。



「部長、お呼びでしょうか?」

医局のデスクに背を向けふんぞり返って座る部長に歩み寄り、無理やり表情を作って会釈する。

「……んっ、……あぁ、環か」

部長は居眠りをしていたようだ。
そんな時間があるなら、学会用の論文を仕上げるとか、会議用の資料を作成するとかすればいいのに。
視界に捉えただけで、苛々が増す。

部長に気付かれないように小さく溜息を吐いた、次の瞬間。

「来週から、系列病院からの交換研修医の話は聞いてるだろ」
「……はい」
「これがその医師の経歴等が記してある書類なんだが、その研修医の指導医を頼む」
「えっ?!……葛城先輩じゃなくてですか?」
「葛城は再来週から、海外研修が入ってるだろ」

先輩は提携している海外の大学病院へと研修で二週間不在になる。
すっかり忘れていた。

「私は何を指導すればいいのでしょうか?交換研修医の指導医は初めてなんですけど」
「とりわけ特別なことは無い。オペの助手につかせたり、回診や会議に同席させたり、普段と変わらずで構わない」
「……はい」
「あえて付け加えるなら、指導評価書というのを作成するくらいか。それは時間のある時に葛城にでも教わってくれ」
「……分かりました」
「もう、戻っていいぞ」
「あ、はい、失礼します」

医局を後にし、再びナースステーションへと向かった。

「やっぱりろくな頼みごとしないよ……」

廊下を歩きながら無意識に愚痴が零れ出していた。

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