サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)

ブルーグレー色のスクラブのポケットから手のひらサイズのメモ帳を取り出し、電子カルテから読み取った必要な情報を素早くメモする元宮。
その手際の良さは、医師として仕事が出来ることを証明している。

そんな元宮に視線を向けた彩葉。
恋人である財前が言った『イケメン』というワードを確認する。

確かにイケメンの部類だ。
目鼻立ちがはっきりとしていて、パーツのバランスもかなり良い。
更には、身長百八十はあろうかという長身なうえ、半袖の袖から覗く逞しい腕。

財前が大人の男の色気を漂わせる美男なら、葛城はキラキラと輝く王子様的イケメン貴公子。
そして、隣りの席に座る元宮は、爽やかスポーツマン風好青年だ。

「環先生」
「え?……あ、ごめん。何?」

元宮を視界に捉えボーっとしていると、パソコンの画面を指差しながら元宮が声を掛けて来た。

「この患者さん、入院されてますけど、緊急性があるんですか?」

彩葉は元宮の指差す先に視線を移した。

「妊娠三十二週で胎児も結構順調に育ってるんだけど、抗リン脂質抗体症候群みたいなの。一昨日産婦人科から転科して来たんだけど、精密検査の結果が昼頃に出るはず。それによって、原発性APS(基礎疾患をもたずに発症する血栓症))かもしれないの」
「三十二週なら、重篤化する前に帝王切開するのが無難ですね」
「うん。……多臓器不全になる前に何とかしないとね」

二人の目の前のモニターには胎児のエコー画像も表示されていて、母子共に無事で出産を終えることを願わずにはいられない。

(APSは、血液中に抗リン脂質抗体という自己抗体が現れ、血液凝固が亢進し、動静脈の血栓症や妊娠合併症を呈する病態のことをいう)

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