サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)
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「お先に」
「お疲れ様でした」
正午前後に国内線の往復フライトをこなした財前は、その後、戦略企画部の仕事をこなし、十七時に退社した。
そしてその足で恋人が勤務す大学病院へと向かった。
海外で眼窩腫瘍の手術を行った財前は、術後の経過観察する病院を彩葉が勤務する大学病院へと移した。
眼科と胸部外科では科も違うし棟も違う。
同じ病院とはいえ、逢う確率はかなり低い。
財前が大学病院を訪れたのは、彩葉に逢うためではない。
術後の経過観察するために定期検診を受けるためだ。
財前が多忙であるということと、財閥とも思えるほどの財力を持つ財前家が大学病院に多額の投資をしているお陰で、主治医に時間外診療をして貰えてるのだ。
待つことが苦手な財前。
強迫性障害の症状でもある、時間に拘る性格。
フライトなら、乗客あっての運行業務だから何とか乗り切れるが、外来の待ち時間ほど苦痛なものは無い。
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「暫くしてないので、来月は血液検査を」
「はい」
「お大事に」
「有難うございました」
目立った症状もなく、経過は順調のようだ。
定期健診を終えた財前は眼科を後にし、ホッと安堵した。
会計窓口へと向かうために南棟から本館へと移動した、その時。
「んっ?……あ、……奴か」
スケルトン状のエレベーターで上がる彩葉を視界に捉えた。
そして、彼女の隣りに十日程前に自宅で見た経歴書にあった男性医師がいる。
十五人乗りのエレベーターなのに、肩が触れ合うほど接近して。
「へぇ~、……結構、長身なんだな」
彩葉との身長差がそれを物語っていた。