サイコな機長の偏愛生活

「郁さっ……、我慢してくれているのだと思うけど、大人な対応してくれるから。呼び出されたからといって喧嘩になった事は無いかな」
「へぇ~」
「やっぱ、デキる男は度量が大きいんですね」
「勧めるのはどうかと思うけど、一緒に住んでみたら?同じ家に帰るわけだし、会う時間は必然的に多くなるよ」
「それが出来たら悩まないですよ~」
「そういうもの?」
「はい、そういうものです」

結婚したいが、なかなか色よい返事が貰えそうにないという尾崎。

「いっそのこと、子づくりしちゃうとか?」

元宮の発言で、その場の空気が一瞬止まったようになった。

「やだぁ~、元宮先生ったら~!」
「あ~でもっ、最悪その手もアリかも~」
「えぇ~っ、マジっすかぁ~?!」

酔い始めてる看護師の中村の言葉を鵜呑みにする尾崎。

「確かになくはないけれど、結婚の意思があっての前提だよ?まずは、ちゃんと話し合った方がいいと思う」
「やっぱりそうですよね」
「何、その目」
「いや、別に」

目の前から射抜くような視線を向ける元宮。
彩葉は手元に視線を移し、揚げ出し豆腐を口にする。

「彩葉先生って、芯もあるし、意外と柔軟な考えの持ち主なんですね」
「失礼ね」
「ますます尊敬しちゃいますっ」
「あ~はいはい」



「ちょっと、お手洗いに行って来るね」
「はぁ~い、いってらっしゃ~いっ」

一時間半近く飲み食いして、二次会コールがかかり始めた。
彩葉はお手洗いと称して、支払いをしにレジへと向かう。

「カードでお願いします」
「畏まりました」

スタッフにクレジットカードを差し出し、店内に流れる音楽に耳を澄ませていると。

「彩葉先生のこういうとこ、クールで好きです」
「っ?!!」

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