恋の魔法なんて必要ない!~厭世家な魔術師と国外逃亡した私の恋模様~
煙たかった部屋の窓を開け放ったように気分がすっきりした。
少し得意げに言ってみる。
「なるほど。ということは。
お父様は図書室の手入れだという理由で、3日に一度という掃除にしてはこまめすぎる頻度で別荘か何かであるこの屋敷に使用人を寄越しているんですね。
そしてその “ついで” に、研究に集中したい息子のために身の回りの面倒な家事と消費財の補充を使用人にさせている。
あなたは本邸に居たくなく、使用人のこともあまり気に入っていない。だから私を雇った。そういうことでしょう?」
かの名探偵のように顔の前で両手を組む。
そして胸を張ってニッと口角を上げた。
すると彼はゆっくりと瞬きをした後、私を見ていた目線を上げ、微かに微笑んだ。
「ほう。大したものだ」
「え。正解ですかっ?」
思わず身を乗り出して訊くと、彼はニヤリと笑って首を横に振った。
「大体だ、大体。ごちそうさま」
「......」
なんか、腹立つ...