鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない

19 私にも出来る事

 オデットの能力に対して、面倒事が起こるのではないかと忌避感を持っていた宮廷の重鎮も国防の最前線に立つ貴重な竜騎士が彼女の能力によって瀕死の状態から回復した事を知り、本人も希望していると言うのならその稀有な価値を役立てる方向にしようと納得せざるを得なくなったようだった。

「本当ですか? 私も、お城で働くことが出来るんですね」

 帰って来たばかりキースが夕食の席で、「オデットの能力を是非活かしてほしいと、王から正式に依頼が来た」と伝えたのだ。オデットは思わず立ち上がり、喜びの声をあげた。

「そうだ。俺が最近早く家に帰りたがるから方々の業務が滞っている事も、くどくどと指摘されたわ。これまでは平日は深夜まで働くのが常だったが、最近残業することもなかった……今回の事で、よくよく理解したが。部下にある程度任せる事も、大事だよなー……良い機会だし全部自分で抱えるのは、止めるわ」

 キースはオデットの笑顔を見て眩しそうに目を細めて顎に手を当てつつ、そう言った。

「キース、嬉しい。いつから、私はお城で働いて良いんですか? 明日から、すぐにでも? 何を着て行けば良いでしょうか……」

< 148 / 272 >

この作品をシェア

pagetop