鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
「あー……まあ、そうだ。そうなんだが、俺は別にオデットに普通の貴族夫人のように邸を取り仕切る女主人になれとは言わない。もし気楽な庶民のような生活が続けたいなら、この家に居れば良い。俺は竜騎士をある程度の年齢まで辞める気はないし、オデットのやりたいようにすれば良い」

 自分の認識は間違ってなかったと安心して、オデットはほっと息を付いた。

「私の好きにして良いなら、女主人になる勉強もしたいです。もし私には合わないと思ったら、キースの信頼出来る方に任せて貰えれば」

「ああ。もちろんだ……ちなみに、さっき俺が驚いたのは……」

 言い辛そうにキースが言葉を止めたので、オデットは不思議に思って首を傾げた。

「悪い。結婚するつもりではなかった訳ではないんだが、俺で良いんだなと思った……我ながら、面倒くさい曰く付きの物件だからな。オデットくらい可愛い女の子なら、いくらでも他の楽な道を選ぶことが出来る」

 キースはそう言って苦笑したので、オデットはますます不思議に思った。

「自分の好きな人と結婚する時に、他の楽な道とか関係あるんですか?」

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