鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
 こんなにすぐ傍に居るというのに、完全に彼女にほったらかしにされている状態の自分にキースは何とも言えない気持ちになった。

 こうして、たまの貴重な休みの時にも、オデットにキースのために必要だからと言われ、勉強をされてしまうと手持無沙汰なのは否めなかった。

(自分のために頑張ってる女の子に、勉強やめて俺とイチャつかないかと言ってしまうようなダサいこと出来ないしなー……どうするかな。こうしてその姿を見ているだけでも、癒されることは癒されるけど。せっかくの久しぶりの休みだしなー……)

 ヴェリエフェンディ周辺国は、いつも通りの事だが小競り合いが絶えずにきなくさい。

 強気な魔法大国ガヴェアは機会があれば必ず何かを仕掛けて来るし、同盟を組んでいる隣国イルドギァも領土拡大を狙う抵抗勢力に常に脅かされているのだ。

 キースは、国防を担っている竜騎士団の団長だ。役職の重要性から、休みは少ない。定期的に決められた休みもあるにはあるのだが、団長が居ないと回らない事が多過ぎる。もし何かあれば休日だとしても、出て行かざるを得ない。

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