鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
(はー……まさか自分が。こんな……その勉強と俺と、どっち大事なのよと言ってしまいそうな心境になるようになってしまうとは……マジか。未来は、本当に何が起こるかわかんねえなー……)

 言われた記憶はあるにはあるのだが、あの子はこういう気持ちだったのかと今振り返って思ったりもした。悪いことをしたなと、過去の日の所業についての反省もあり。

(素直に、思っている事を言えば良いだろう。俺と遊んでくれと)

 心の中に契約を結んだ相棒の声がいきなり聞こえて、キースは無言のままで憮然とした表情になった。

(うっせえ。こういう事は、別に嘘でも聞いてない振りしろ)

 セドリックがキースの恋愛沙汰に意見して来るのは、今思い返せばオデットだけだ。こういう事には特に興味なさそうな顔をして、本気度がわかっていたのかもしれない。

(街にでも、誘ってあげれば良いんじゃないか。このところ忙しくて外出をしていないし、あの子は涼しい夏の服を欲しがっていた)

 キースが城で執務をしている間、相棒のセドリックは人化して大体オデットの傍に居る。

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